馬券でも「ビギナーズラック」はあると言われます。
もちろん、すべての人に起こるというわけではありません。
競馬初心者なりに一生懸命馬を見て、選びに選んで買った馬券を「ラッキー」呼ばわりされるのは少し心外なのではないでしょうか?
本当は逆なのかもしれません。
初めての人が馬券を当てると「ビギナーズラック」と言われる、それだけの話。
実際に初心者未経験者が馬券で当たりやすいという根拠はあるのでしょうか?
今回は、その辺について少し掘り下げたいと思います。
競馬をやる人はみんなそれなりの予想をして馬券を買う
競馬初心者におすすめなのは「推し馬」を見つけ応援する馬券でした。
初心者でない人の買い方、実は初心者とは違うのです。
確かに馬をじっくり見る人も一定数はいます。
しかし多くの人はあまり馬を見ません。
おじさんたちは真剣な面持ちで競馬新聞とにらめっこ。
スマホで何かチェックしながら、何かよく分からない暗号のようなものを赤いペンで新聞に書き込んでいる。
競馬場や場外馬券場に行くとよく見る光景です。
勝てるかどうかはさておき、みなさんそれぞれに独自の予想パターンを持っています。
自分の使えるお金の中から一生懸命捻出し、馬券につぎこんでいるわけです。
見た感じ決して裕福には見えません。
それは真剣になることでしょう。
当てずっぽうで予想し、お金を失うわけにはいきません。
自分なりに納得できる方法で馬選びをしているわけです。
当たりやすい馬券はオッズが低い
- 強い馬は勝ちやすい=当たりやすい
- 強い馬はみんなが選ぶので、当たっても払い戻し金が安い
- よって当たりやすい馬券はオッズが低い
馬券としてオッズはものすごく安くなります。
強い馬は勝ちやすい
他に比べて強い馬は単純に勝ちやすいです。
新馬戦や未勝利戦など下級クラスでよく起こることですが、
あまりに強すぎる馬が出走登録(このレースに出ます!)をすると、
他の馬は「あいつが出るなら勝てなそうだから出るのをやめよう」
となり、出走頭数がとても少なくなります。
6頭だけ、なんてこともちょくちょくあります。
もちろん決めているのは馬本人? ではなく厩舎(世話をするところ)や馬主です。
少頭数になると、強い馬はさらに人気になります。
オッズの仕組み
みんなが馬券を買います。
売れた全金額からJRA(胴元)が1/4くらい取り、残りを当たった人で分け合います。
当たった人が多ければ多いほど払い戻しは安くなり、少ないと高くなります。
ディープインパクト
近年だとディープインパクトという馬がいました。
2006年に引退、2019年に亡くなりましたが種牡馬としても大活躍でした。
日本のレースでは単勝最高オッズが1.3倍。
この馬、何と単勝100円ということもありました。
1着になれば100円、2着以下ならハズレ。
最初から100円ならば誰も買いません。ローリスクノーリターンですから。
おそらく締め切り近くまで1.1倍だったのでしょう。
「1万買えば1000円ただもらい」
「10万買えば1万円」
この馬があまりに強いものですから、みんな単勝に群がった挙句元返しとなりました。
もちろん複勝も100円です。
元返し
100円の馬券を買って当たり、払い戻しが100円の時のこと。
馬券は売れた全金額からJRAが1/4取り、残りを当たった人で分け合います。
券種で違うのですが、たとえば2020年現在、単勝だと20%がJRAの分、残りが80%です。
あまりに人気が偏り、単勝の得票が80%に迫るほどになると、
JRAの分を除いてしまうと、もうプラスできるお金の残りがありません。
結果元返しとなります。
便宜上「JRAの取り分」と書いていますが、
実際は国に納めたり、社会・公共事業に回す分も多く、
決してJRAが儲けているという意味ではありません。
純粋なJRAの取り分にしても、大半は競馬場などの施設や人件費、広告費です。
デタラメな買い方の方が当たった時大きい
たとえば「(私の)誕生日が5/11だから馬連の5-11を買おう」となったとします。
馬の力に関係なく選んだわけですから、この二頭が強い可能性は低いです。
他の人は、馬連は強い二頭を選んでいます。
あるいは強い数頭の中から二頭を選んでいます。
誕生日馬券の馬連5-11を買っている人は少ないでしょう。
おそらく普通の予想では「これはいらない」と切られる馬です。
もしこれが当たった場合、選んでいる人が少ないので払戻金は高額になるでしょう。
強いと思われる馬が人気になるわけですから、
強さと関係なく選ばれた馬の馬券は高額になりがちです。
もちろん当たりにくいです。
欲がない状態の方が当たりやすい
一生懸命予想をしている人たちは、要するに
「お金儲け」
をしようとして馬券を買っています。
お金がからんだ状態で、冷静に馬の力を比較分析できる人は少ないです。
どうしても欲が出て、より儲かりそうな予想になりがちです。
つまり馬の比較でなく、お金の事情で馬選びをしているということです。
競馬初心者は、馬をじっくり見て「推し馬」を見つけ応援する馬券を買います。
これは純粋に強い馬を選ぶ行為にほぼ等しいです。
儲けようという欲のない予想の方が、結果として当たりやすい。
ビギナーズラックの多くはこういうことなのでは? と感じています。
定義はどうあれ、当たるのはうれしいですよね
もはや言葉の定義はどうでもいいです。
初心者のうちにビギナーズラックがあるのであれば、今のうちに享受しておきましょう。
じっくり馬を見て「推し馬」を決め応援する。馬券を買う。
競馬初心者ができるのはこれだけです。
買った馬券がいくらになるとか、そんなことは関係ありません。
儲かることはうれしいかもしれませんが、目的はそこにありません。
応援している馬が活躍したらうれしい。
選んだ馬券が当たったらなおうれしい。
お金儲けより、馬がいる生活を楽しむことを主眼においてほしいと切に願います。